横浜・川崎の行政書士の外山(とやま)です。
建設業許可に関するお問い合わせを多く頂きます。
お問い合わせの中でお客様が気になさるのは、ご自身が許可の要件を満たしているかどうかについてです。
建設業許可の取得においてはいくつか要件があります。
今回はその建設業許可の要件の一つである、財産的基礎についてご紹介します!
財産的基礎とその必要性
財産的基礎とはいわば許可申請者が工事を施工するための資金があるか、もしくはその資金調達能力があるかどうかをいいます。
建設業に許可制度が設けられている理由は、建設工事の適切な施工の確保及び発注者の保護を図るところにあります。
また、建設工事の施工においては多額のお金が必要です。
したがって、許可申請の段階で財産的な基礎が整っているかどうかについての確認が行われるのです。
一般建設業許可と特定建設業許可の財産的基礎
許可には「一般建設業」と「特定建設業」の2つの種類があります。
特定の場合、一般許可に比べてより厳しい財産要件のクリアが必要となります。
一般建設業許可の財産要件
一般許可の財産要件をクリアするには以下のいずれかを満たす必要があります。
自己資本の額(純資産額)が500万円以上である者
自己資本の額とは、貸借対照表の純資産合計の額です。
これが500万円以上あることが必要で、許可申請直前の貸借対照表で判断されます。
なお、新設法人に関しては開始貸借対照表で判断されます。
ちなみに神奈川県知事許可の場合、電子申告における確定申告書で財産要件を証明する場合はその申告書を出力したものに原本証明が必要となります。
500万円以上の資金の調達能力があると認められる者
自己資本の額が不足する場合は、500万円以上の資金調達能力があることを証明しなれければなりません。
神奈川県では金融機関による残高証明書で財産的基礎を確認します。
残高証明書上に500万円以上の残高が確認できることが要件です。
なお、残高証明書には有効期間があります。残高証明日から1ヵ月以内に申請をしなればなりません。
許可申請直前5年間に許可を受けて継続して建設業の経営をしていた者
これは更新時における金銭的信用の確認方法です。
一般許可では、更新時に財産的基礎の確認は行われません。
特定建設業許可の財産要件
特定許可は、発注者や下請業者を保護する目的で制度化されたものです。
なぜならば、元請着業者である特定許可業者が倒産すると、その下請業者が連鎖倒産に追い込まれるなど、他のものに悪影響を及ぼすおそれがあるからです。
このため、大規模な建設工事の支払いに耐えられるよう、一般許可よりもより厳しい財産要件を特定許可業者に課しています。
特定許可の取得のためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
資本金の額が2,000万円以上であること
資本金の額とは、株式会社であれば払い込み資本金のことをいいます。
この額が直前の決算の貸借対照表において2,000万円以上計上されていることが必要です。
自己資本の額(純資産合計)が4,000万円以上であること
自己資本の額とは、法人なら純資産合計をいいます。
この額が直前の決算の貸借対照表において4,000万円以上計上されていることが必要です。
欠損金額が資本金額の20%以内であること
欠損の額とは、法人の場合、マイナスになる繰越利益剰余金が、資本剰余金、利益準備及びそのほか利益剰余金の合計を上回る額をいいます。
この額が、資本金の額の20%以内であることが必要です。
流動比率が75%以上であること
流動比率とは、流動資産を流動負債で除して得た数値に100を乗じた数のことをいいます。
この数値が75%以上であることが必要です。
まとめ
いかがでしょうか。
特定の許可の取得は一般に比べてより難しいことがわかります。
なお、特定許可を取得したとしても特定許可のための財産的基礎をずっと保たなければなりません。
仮に特定許可の財産的基礎を満たさなくなった場合は、特定許可から一般許可に切り替える、建設業許可の般特新規申請をする必要があります。
記事の中で不明点やもっとよく知りたいことなどありましたら、コメントもしくはお問い合わせくださいませー。
今回もブログをお読みいただき、ありがとうございました!