こんばんは!
横浜・川崎の行政書士の外山(とやま)です。
一定の金額の工事を請け負う場合は建設業許可が必要です。
その建設業許可には要件があり、その一つとして経営業務の管理責任者が挙げられます。
今回は一般許可を念頭に置いたうえで、経営業務の管理責任者に関するQ&Aをご紹介します!
建設業許可とは
建設業許可は2業種の一式工事と27業種の専門工事、合計29業種あります。
そして、工事1件の請負金額が税込で1,500万円に満たないもの、もしくは延床面積が150㎡に満たない木造住宅の工事以外の工事に関しては、建築一式工事の許可が必要です。
また、専門工事においては、工事1件の請負金額が税込500万円以上のものはそれぞれの工種につき、建設業許可が必要となります。
一般許可と特定許可
建設業許可の区分として一般建設業許可と特定建設業許可があります。
その違いは、元請業者となって下請業者に発注できる金額に制限があるかという点です。
一般許可の場合は、元請工事一件当たりの下請発注の合計金額が税込み4,000万円未満(建築一式工事の場合は6,000万円未満)です。
特定許可の場合は、このような下請業者に発注できる金額に制限がありません。
建設業許可(一般許可)の要件
建設業許可を取得するには要件を満たす必要があります。
大きく分類すると、人の要件(経営業務の管理責任者と専任技術者)と財産要件となります。
経営業務の管理責任者
経営業務の管理責任者とは、法人の取締役や個人事業主などの地位にあって、建設業の経営業務について総合的に管理した経験のある者をいいます。省略して、経管とも呼ばれます。
経営業務を管理した経験の年数と内容
建設業の経管として認められるためには、許可を受けようとする業種については5年以上もしくは許可を受けようとする以外の業種については6年以上の経験年数が必要です。
法人の取締役や個人事業主、建設業法施行令第3条使用人(いわゆる令第3条使用人)としての経験が経営経験にカウントされます。
また、法人の執行役員等であった場合も一定の場合、経営経験にカウントすることができます。その一定の場合とは、法人の役員に次ぐ職制上の地位にあることが組織図等から確認できるなどのいくつかの要件の満たすケースです。
経営業務の管理責任者の要件に関する確認資料
神奈川県知事許可の場合に沿って、説明させていただきます。
この点、都道府県によっては認められたり、認められなかったりするので事前に役所に確認されることをオススメします。
おおまかにいうと、「建設業の経営に携わっていること」と「携わっている間にきちんと会社に在籍していること」を確認する書類が必要になります。
1.建設業許可業者での経験
建設業許可業者で経営経験をお持ちの方がいらっしゃるケースがあります。
このような場合、経管証明書の備考欄にその建設業者の許可番号と許可業種、許可期間を記載します。
記載した情報は審査窓口にて許可業者台帳と照合されます。
2.建設業許可業者以外での経験
経験期間の工事請負契約書、経験期間の注文書、経験期間の請求書と支払の確認できる通帳の写しが必要となります。また、事業目的欄に具体的な工種名の記載がある経験期間内の税務申告書も確認資料に活用できます。ただし、申請の際に、原本を提示する必要があります。
3.会社に在籍している年数の確認
建設業を営んでいることが注文書上確認できたとしても、実際に在籍していたことが必要となります。以下、その証明書類です。
- 経験期間の履歴事項全部証明書・閉鎖事項全部証明書
- 経験期間の厚生年金保険被保険者資格照会回答票
- 申請者における現在の履歴事項全部証明書
- 申請者における現在の健康保険証 ※事業所名が確認できるもの
以上の書類で経験年数分の在籍を確認できることが必要です。
専任技術者
専任技術者とは建設業許可の要件の一つであり、営業所ごとに置かなければならない技術者のことをいいます。許可業者には一定の技術水準が要求されます。そのため、専任技術者を営業所ごとに置くことが要件とされているのです。
専任技術者がいない場合は許可されません。
いったん許可がなされた後で、専任技術者が不在となった場合はその許可を廃業しなければなりません。従たる営業所の専任技術者が不在となった場合は、その営業所の許可業種を変更し、または許可営業所を廃止しなければなりません。
専任技術者になれる人
専任技術者は、一定の資格がある者などがなれます。この者を営業所ごとに常勤させることが必要です。
許可を受けたい業種が複数の場合、1人の技術者が不空の業種について資格を有していれば、該当するすべての業種の専任技術者になることができます。
一般許可の専任技術者
1.一定の国家資格者など(1級もしくは2級)
2.許可を受けようとする業種について次のいずれかの実務経験がある者
- 大学または高専の指定学科を卒業後3年以上の実務経験
- 高等学校の指定学科を卒業して5年以上の実務経験
- 10年以上の実務経験者
専任技術者は営業所に常勤していることがヒツヨウ
一般許可でも特定許可でも、技術者の方が営業所に常勤していることが必要です。
たとえば、健康保険被保険者証(事業所名の確認できるもの)や住民税の特別徴収税額決定通知書などが確認資料となります。
財産的基礎があること
建設業に許可制度が設けられている理由は、建設工事の適切な施工の確保及び発注者の保護を図るところにあります。また、建設工事の施工においては多額のお金が必要です。
したがって、許可を受ける段階で財産的な基礎が整っているかどうかについての確認が行われます。
一般許可の財産要件
一般許可の財産要件をクリアするには以下のいずれかを満たす必要があります。
1.自己資本の額(純資産額)が500万円以上である者
自己資本の額とは、貸借対照表の純資産合計の額です。これが500万円以上あることが必要で、許可申請直前の貸借対照表で判断されます。なお、新設法人に関しては開始貸借対照表で判断されます。
ちなみに神奈川県知事許可の場合、電子申告における確定申告書で財産要件を証明する場合はその申告書を出力したものに原本証明が必要となります。
2.500万円以上の資金の調達能力があると認められる者
自己資本の額が不足する場合は、500万円以上の資金調達能力があることを証明しなれければなりません。神奈川県では金融機関による残高証明書で財産的基礎を確認します。残高証明書上に500万円以上の残高が確認できることが要件です。
3.許可申請直前5年間に許可を受けて継続して建設業の経営をしていた者
これは更新時における金銭的信用の確認方法です。一般許可では、更新時に財産的基礎の確認は行われません。
誠実性
誠実性とは、許可申請を行う者が請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれがないこといいます。
不正または不誠実な行為とは、以下の行為をいいます。
1.不正な行為とは、請負契約の締結または履行の際に、詐欺や脅迫、横領などの法律を違反する行為
2.不誠実な行為とは、工事内容や工期、天災などの不可抗力による損害の負担などについて請負契約に違反する行為
3.申請者が一定の法律で不正または不誠実な行為を行ったために、免許などの取消処分を受けて、5年を経過しない者である場合
経営業務の管理責任者に関する3つの注意点
経営業務の管理責任者は許可の要件です。
その経営業務の管理責任者が一日でも不在となると、許可の要件を欠いている状態となり、許可の取消処分を受けることとなります。
そのため、経営業務の管理責任者の要件を満たすかはかなりシビアにみることとなります。
以下では、経営業務の管理責任者に関する事柄をご紹介します。
経営経験を積むのは無許可業者でも認められる
経営業務の管理責任者は「建設業を経営している法人または個人」で経営管理の経験がある者をいいます。しかし、「許可を受けていた」とはしていないので、無許可業者であっても、経営経験があるのであればその経験期間を証明する期間中に加算することはできます。
経験業務の管理責任者がいないと許可は受けられない
経営業務の管理責任者は許可要件の一つです。したがって、経営業務の管理責任者になれる者がいない場合は、建設業許可を取得することができません。
経営業務の管理責任者の後任の育成をオススメします
経営業務の管理責任者が欠けると、許可の取消処分を受けます。
したがって、万が一を考えて、経営業務の管理責任者になれる後任の者を複数育成しておくことをオススメします。
建設業許可の要件を満たすか、無料で診断いたします
経営業務の管理責任者を含む要件判断は難しいです。
したがって、専門家である行政書士に要件を満たすかどうかのチェックを依頼することも一つの手段かもしれません。
ぼくは、建設業許可を専門とする行政書士です。
経営業務の管理責任者の要件を満たしているかどうかなど許可要件にかかる点に関して、無料で判断いたします。
記事上で不明点やもっと知りたい箇所がありましたらコメントもしくはお問い合わせくださいませー。今回もブログを読んでいただきまして、ありがとうございました!