横浜・川崎の行政書士の外山(とやま)です。
個人で事業を始め、事業が軌道にのったら法人化し、事業拡大を図る。
そのようなケースはあると思います。
建設業許可の取得は、要件さえ満たすことができれば、個人でも法人でも取得できます。
しかし、注意点があります。
建設業許可の引継ぎはできない
法人成りに伴う、建設業許可の引継ぎはできません。
たとえ、個人で建設業許可を取得している場合、いったん廃業届を提出したあとに、新たに設立した法人名義で建設業許可を改めて取得する必要があります。
したがって、建設業許可の取得をお考えで、なおかつ法人の設立を検討しているのであれば、まず法人を設立し、そのあとに建設業許可を取得をすることオススメします。
引継ぎができないことによるデメリット
個人名義で建設業許可を取得し、新たに設立した法人に許可を引き継ぐことはできません。
許可の引継ぎができないことによるデメリットについてもご紹介します。
許可番号が変わる
建設業許可を取得すると、許可業者には許可番号が付与されます。
建設業許可を取得し、廃業届を提出したあとに改めて建設業許可を取得すると、この許可番号が変わります。
したがって、許可番号が変わったことに伴い、他社に周知させたりする手間が増えます。
費用が生じる
建設業許可の申請には費用がかかります。
神奈川県知事許可の場合は新規申請の際に9万円の審査手数料が必要です。
また、申請書に添付する証明書類を取得するための費用もかかります。
手間がかかる
改めて建設業許可の新規申請をするとなると、用意すべき書類は膨大です。
たとえば、取得したい業種について工事経歴書を作成する必要があります。
また、財務諸表を作成する必要もあります。
この財務諸表は税務申告用の決算報告書を添付すればよいものではなく、建設業会計に基づく勘定科目に振りかえたうえで、財務諸表を作成しなければなりません。
このように改めて許可申請の準備をすることはとても手間がかかります。
入札参加資格や経営事項審査の有効性が失われる
各自治体が発注する公共工事を請け負うためには、各自治体に対して入札参加資格を取得している必要があります。
また、この入札参加資格の取得には、経営事項審査(いわゆる経審)によって得られる総合評定値通知書が必要です。
入札参加資格を得るためには、経営事項審査を受けていることが必要であり、その経営事項審査を受けるためには、申請業種について建設業許可をもっていなければなりません。
つまり、廃業届を提出し、改めて建設業許可を取得する場合、経営事項審査や入札参加資格申請も改めて行う必要があるのです。
建設業許可の要件
ここで建設業許可の要件について触れておきます。
建設業許可は要件があります。
建設業許可の取得のため、その要件を満たしていなければなりません。
・経営業務の管理責任者がいること
・営業所ごとに専任技術者を置いていること
・財産的基礎を有すること
・欠格要件に該当しないこと
以上を書類上で証明します。
そして、この証明は法人であっても個人であっても変わりません。
また、個人の建設業許可の廃業届を提出した後、改めて法人名義で建設業許可を申請する場合でも、この要件を満たしている必要があります。
建設業許可の取得、個人事業時の経験を活用して証明することもできる
個人名義で建設業許可の取得を取得した後、法人を設立した場合、その法人に許可の引継ぎはできません。
したがって、廃業届を提出し、その後、法人名義で建設業許可の新規申請をする必要があります。
一般的にいえば、新規申請となると許可の要件を満たすための書類を用意するのが大変です。
しかし、個人事業時に許可申請をした際に活用した経営業務の管理責任者の証明方法を再度証明することなど、証明の観点からいえば一から準備するよりも難易度が低いといえます(神奈川県知事許可の場合)。
まとめ
個人名義で建設業許可を取得、法人化した後、許可の引継ぎはできません。
引継ぎはできないので、取得している許可につき、廃業届を提出した後、法人名義で建設業許可の申請をする必要があります。
建設業許可の取得も法人設立も検討している方は、まずはじめに法人設立をしたあとに建設業許可の取得をすることをオススメします。
今回もブログを読んでいただきまして、ありがとうございました!