許可制の概要、建設業許可とは

建設業法上、消費者保護の観点から建設業の営業に許可制を採用しています。

そこで、一定の金額の工事を請け負う場合は建設業許可が必要となります。

 

建設業許可を取得するメリット

建設業許可を取得するメリットとしてはいくつかあります。

1. 取引相手に対する信用性を高める

2.建設業許可をもっていることが、銀行の融資をする際の条件のうちの一つである

3.行政の発注する公共工事を請け負うために入札参加資格が必要。その前提として経営事項審査を受けなければならない。建設業許可業者のみが経審を受けられる

 

建設業許可が不要のケース

建設業法では、建設業の営業に許可制を採用しています。

しかし、許可がなくても建設業の営業が一定の範囲内であればできるように配慮しています。

 

軽微な工事

軽微な工事の場合、建設業許可は不要です。その軽微な工事とは以下のものです。

1.建築一式工事(下のいずれかに該当するもの)

  1. 工事1件の請負金額が消費税込みで1,500万円に満たないもの
  2. 延べ床面積が150㎡に満たない木造住宅の工事

2.建築一式以外の工事

  1. 工事1件の請負金額が消費税込みで500万円に満たないもの

 

そのほか建設業許可なく施工ができるもの

軽微な工事以外にも建設業許可を持たずに施工できるケースがあります。

1.自らが使用する建設工作物を施工する場合(自社施工)

2.不動産業者が建売住宅を自ら建築する場合(請負契約にあたらない)

3.船舶・車両など土地に定着しないものの工事

 

 

建設業許可の要件、要件をみたせば建設業許可はとれる

建設業許可を取得するためにはいくつか要件があります。

その要件を満たすことが証明できれば、許可は取得できます。

なお、要件を満たすかどうかに関してはすべて書類で証明します。

以下で建設業許可の要件についてご説明します。

 

経営業務の管理責任者

経営業務の管理責任者とは、法人の取締役や個人事業主などの地位にあって、建設業の経営業務について総合的に管理した経験のある者をいいます。省略して、経管とも呼ばれます。

 

経営業務を管理した経験の年数と内容

建設業の経管として認められるためには、許可を受けようとする業種については5年以上もしくは許可を受けようとする以外の業種については6年以上の経験年数が必要です。

 

法人の取締役や個人事業主、建設業法施行令第3条使用人(いわゆる令第3条使用人)としての経験が経営経験にカウントされます。

また、法人の執行役員等であった場合も一定の場合、経営経験にカウントすることができます。その一定の場合とは、法人の役員に次ぐ職制上の地位にあることが組織図等から確認できるなどのいくつかの要件の満たすケースです。

 

経営業務の管理責任者の要件に関する確認資料

神奈川県知事許可の場合に沿って、説明させていただきます。

この点、都道府県によっては認められたり、認められなかったりするので事前に役所に確認されることをオススメします。

おおまかにいうと、「建設業の経営に携わっていること」と「携わっている間にきちんと会社に在籍していること」を確認する書類が必要になります。

 

1.建設業許可業者での経験

建設業許可業者で経営経験をお持ちの方がいらっしゃるケースがあります。

このような場合、経管証明書の備考欄にその建設業者の許可番号と許可業種、許可期間を記載します。

記載した情報は審査窓口にて許可業者台帳と照合されます。

 

2.建設業許可業者以外での経験

経験期間の工事請負契約書、経験期間の注文書、経験期間の請求書と支払の確認できる通帳の写しが必要となります。また、事業目的欄に具体的な工種名の記載がある経験期間内の税務申告書も確認資料に活用できます。ただし、申請の際に、原本を提示する必要があります。

 

3.会社に在籍している年数の確認

建設業を営んでいることが注文書上確認できたとしても、実際に在籍していたことが必要となります。以下、その証明書類です。

  1. 経験期間の履歴事項全部証明書・閉鎖事項全部証明書
  2. 経験期間の厚生年金保険被保険者資格照会回答票
  3. 申請者における現在の履歴事項全部証明書
  4. 申請者における現在の健康保険証 ※事業所名が確認できるもの

以上の書類で経験年数分の在籍を確認できることが必要です。

 

 

専任技術者

専任技術者とは建設業許可の要件の一つであり、営業所ごとに置かなければならない技術者のことをいいます。許可業者には一定の技術水準が要求されます。そのため、専任技術者を営業所ごとに置くことが要件とされているのです。

 

専任技術者がいない場合は許可されません。

いったん許可がなされた後で、専任技術者が不在となった場合はその許可を廃業しなければなりません。従たる営業所の専任技術者が不在となった場合は、その営業所の許可業種を変更し、または許可営業所を廃止しなければなりません。

 

専任技術者になれる人

専任技術者は、一定の資格がある者などがなれます。この者を営業所ごとに常勤させることが必要です。

許可を受けたい業種が複数の場合、1人の技術者が不空の業種について資格を有していれば、該当するすべての業種の専任技術者になることができます。

 

専任技術者は一般許可と特定許可で備えるべき要件が異なりますのでご注意ください。

 

一般許可の専任技術者

1.一定の国家資格者など(1級もしくは2級)

2.許可を受けようとする業種について次のいずれかの実務経験がある者

  1.  大学または高専の指定学科を卒業後3年以上の実務経験
  2.  高等学校の指定学科を卒業して5年以上の実務経験
  3.  10年以上の実務経験者

 

特定許可の専任技術者

特定許可は指定券業以外の業種と指定建設業の業種に分類されます。

指定建設業とは、土木一式工事業、建築一式工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業の7業種をいいます。

 

指定建設業以外の業種

1.一定の国家資格者(1級のみ)

2.一般許可の専任技術者の要件に該当するもので、4,500万円以上の元請工事に関して2年以上の指導監督的実務経験がある者

 

指定建設業

1.一定の国家資格者等(1級のみ)

 

専任技術者は営業所に常勤していることがヒツヨウ

一般許可でも特定許可でも、技術者の方が営業所に常勤していることが必要です。

たとえば、健康保険被保険者証(事業所名の確認できるもの)や住民税の特別徴収税額決定通知書などが確認資料となります。

 

財産的基礎があること

建設業に許可制度が設けられている理由は、建設工事の適切な施工の確保及び発注者の保護を図るところにあります。また、建設工事の施工においては多額のお金が必要です。

したがって、許可を受ける段階で財産的な基礎が整っているかどうかについての確認が行われます。

許可には「一般」と「特定」の2つの種類があります。

特定の場合、一般許可に比べてより厳しい財産要件のクリアが必要となります。

 

一般許可の財産要件

一般許可の財産要件をクリアするには以下のいずれかを満たす必要があります。

 

1.自己資本の額(純資産額)が500万円以上である者

自己資本の額とは、貸借対照表の純資産合計の額です。これが500万円以上あることが必要で、許可申請直前の貸借対照表で判断されます。なお、新設法人に関しては開始貸借対照表で判断されます。

ちなみに神奈川県知事許可の場合、電子申告における確定申告書で財産要件を証明する場合はその申告書を出力したものに原本証明が必要となります。

 

2.500万円以上の資金の調達能力があると認められる者

自己資本の額が不足する場合は、500万円以上の資金調達能力があることを証明しなれければなりません。神奈川県では金融機関による残高証明書で財産的基礎を確認します。残高証明書上に500万円以上の残高が確認できることが要件です。

 

3.許可申請直前5年間に許可を受けて継続して建設業の経営をしていた者

これは更新時における金銭的信用の確認方法です。一般許可では、更新時に財産的基礎の確認は行われません。

 

特定許可の財産要件

特定許可は、発注者や下請業者を保護する目的で制度化されたものです。なぜならば、元請着業者である特定許可業者が倒産すると、その下請業者が連鎖倒産に追い込まれるなど、他のものに悪影響を及ぼすおそれがあるからです。

このため、大規模な建設工事の支払いに耐えられるよう、一般許可よりもより厳しい財産要件を特定許可業者に課しています。

 

特定許可の財産要件は以下の項目をすべて満たす必要があります。

 

1.資本金の額が2,000万円以上であること

資本金の額とは、株式会社であれば払い込み資本金のことをいいます。

この額が直前の決算の貸借対照表において2,000万円以上計上されていることが必要です。

 

2.自己資本の額(純資産合計)が4,000万円以上であること

自己資本の額とは、法人なら純資産合計をいいます。

この額が直前の決算の貸借対照表において4,000万円以上計上されていることが必要です。

 

3.欠損金額が資本金額の20%以内であること

欠損の額とは、法人の場合、マイナスになる繰越利益剰余金が、資本剰余金、利益準備及びそのほか利益剰余金の合計を上回る額をいいます。

この額が、資本金の額の20%以内であることが必要です。

 

4.流動比率が75%以上であること

流動比率とは、流動資産を流動負債で除して得た数値に100を乗じた数のことをいいます。

この数値が75%以上であることが必要です。

 

誠実性

誠実性とは、許可申請を行う者が請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれがないこといいます。

 

不正または不誠実な行為とは、以下の行為をいいます。

1.不正な行為とは、請負契約の締結または履行の際に、詐欺や脅迫、横領などの法律を違反する行為

2.不誠実な行為とは、工事内容や工期、天災などの不可抗力による損害の負担などについて請負契約に違反する行為

3.申請者が一定の法律で不正または不誠実な行為を行ったために、免許などの取消処分を受けて、5年を経過しない者である場合

 

建設業許可の区分や種類

建設業許可とはいえども様々な種類や区分があります。

その種類や区分についてご説明します。

 

知事許可と大臣許可

建設業法上の営業所は建設工事の請負契約を常時締結している場所のことをいいます。

営業所の所在地がどこにあるかによって、取得すべき許可が知事許可か大臣許可が変わります。

 

ちなみに登記上の本店とは違う営業所(事実上の営業所といいます)で建設工事の請負契約を常に締結している…といった場合は、事実上の営業所が建設業法上の営業所にあたります。

 

営業所が1つの都道府県内にある場合、都道府県知事許可が必要

1つの都道府県内だけに営業所が存在する場合は、都道府県知事許可(以下、知事許可)の取得が必要です。

たとえば、神奈川県内に営業所があるのであれば、神奈川県知事許可を取得しなければなりません。

ちなみに、複数の営業所が同じ都道府県内にある場合も、知事許可が必要です。つまり、横浜市と川崎市に営業所がある場合でも、知事許可を取得しなければなりません。

 

営業所が2つ以上の都道府県内にある場合、国土交通省大臣許可が必要

2つ以上の都道府県内に営業所が存在する場合は、国土交通省大臣許可(以下、大臣許可)が必要です。

たとえば、神奈川県と東京都内に営業所があるのであれば、大臣許可を取得しなれければなりません。

 

一般許可と特定許可

建設業許可の区分として一般建設業許可と特定建設業許可があります。

その違いは、元請業者となって下請業者に発注できる金額に制限があるかという点です。

 

一般許可の場合は、元請工事一件当たりの下請発注の合計金額が税込み4,000万円未満(建築一式工事の場合は6,000万円未満)です。

特定許可の場合は、このような下請業者に発注できる金額に制限がありません。